はじめまして。
韓国の高校で日本語を教えているらん先生です。
学校での日常を、日本語で少しずつお届けしていこうと思います。不自然な表現がありましたら、どうか大目に見ていただけるとうれしいです。
今回のお話は、夜になっても明かりが消えない教室。
「まだ授業中なの?」
いいえ。生徒たちは「ヤジャ」の時間を過ごしています。
「ヤジャ」って、何をする時間?
ヤジャは、韓国語の「야간자율학습」を略した言葉。日本語でいうと「夜間の自主学習」です。
授業が終わったあと、学校に残ってそれぞれ勉強します。先生は授業をするのではなく、監督として見守る役目です。
私の勤務校では夜9時まで、高校3年生は夜10時まで勉強することがあります。
ただし、時間や参加のルールは学校によって違います。そして、私が生徒だった頃と今とでも、その雰囲気はずいぶん変わりました。
2000年代。「自主」なのに、帰る自由はありませんでした
私が高校生だった2000年代、通っていた学校のヤジャは全員参加でした。
名前は「自主学習」。でも、参加するかどうかは自分で決められません。
そして、眠ってしまったときの対応も、今とはまったく違いました。
居眠りをすると、細い棒で手のひらを10回たたかれたのです。
今なら、とても受け入れられないことですよね。私が経験したヤジャには、そんな厳しさがありました。
眠くても、帰りたくても、まずは決められた時間まで残る。「自分で選んだ勉強時間」というより、「学校生活の一部として参加しなければならない時間」だったのです。
そんな私が、今度は教員として夜の教室に立っています。
今は自由参加。それでも、意外と生徒が残ります
現在、私の勤務校では、ヤジャに参加するかどうかは自由です。
昔の私が聞いたら、きっとこう思うでしょう。
「それなら、みんな帰るのでは?」
ところが、意外と多くの生徒が参加しています。
学校で夕食を食べられることも、その理由の一つだと思います。有料ですが、比較的手頃な料金。食事を済ませて、そのまま勉強を続けられます。
一度帰宅して、食べて、くつろいで、それからまた机に向かう。この「それから」が、なかなか難しいんですよね。
また、私の学校では、毎日参加する生徒ほど希望の席を選びやすい仕組みもあります。
図書館でもカフェでも、落ち着く席はあるもの。生徒にとっても、「どこで勉強するか」は大事なようです。
「先生、寝ていたら起こしてください」
では、監督をしている私は、夜の教室で何を見ているのでしょうか。
まず、ヤジャ中はスマートフォンの使用が禁止されています。
画面の誘惑は遠ざけられても、眠気までは遠ざけられません。朝から授業を受けて、夕食も食べたあとですから、無理もありません。
そんなとき、生徒が自分から私のところへ来ます。
「先生、寝ていたら起こしてください」
昔は、寝ているところを先生に見つかるのが怖かった。今は、起こしてもらうために先生を頼ってくる。
同じ夜の教室なのに、この違いには、しみじみ時代の変化を感じます。
眠くなった生徒のために、立って勉強できるスタンディングデスクもあります。座ったまま頑張るだけでなく、場所や姿勢を変えることもできるのです。
先生に頼む。立って勉強する。自分が集中しやすい席を選ぶ。
見守っていると、生徒たちなりの工夫が見えてきます。
夜の教室で、変わったこと
生徒だった私にとって、ヤジャは「残らなければならない時間」でした。
今、私が見守る生徒たちにとっては、「残って勉強することを選べる時間」です。
もちろん、学校に残ることだけが頑張りではありません。家や別の場所のほうが集中できる生徒もいるでしょう。睡眠や休息も大切です。
それでも、「寝ていたら起こしてください」と頼まれると、昔とは違う先生の役割を感じます。
かつては、眠ると手のひらをたたかれた教室。
今は、眠くなったときに先生を頼れる教室。
私が生徒と教員、両方の立場から見てきたヤジャには、そんな変化がありました。
※過去の体験は筆者の出身校、現在の様子は勤務校についてのものです。韓国のすべての高校に共通するわけではありません。